竹取物語

[童話]竹取物語


帝、かぐや姫の昇天を確かめる 10

 
屋根の上に、かぐや姫が乗る車を寄せると、天人が
いいました。
「さあ、かぐや姫。こんな穢れた所に、なぜ長い間い
るのですか。出てきなさい」と。
姫を閉じこめてあった塗籠の戸も、自然に開いてし
まいました。
おばあさんは、抱いていたかぐや姫が、籠の外へ出
てしまったので、泣いています。


かぐや姫は、泣き伏しているおじいさんのそばに寄
り「心ならずも、月へ帰らなくてはなりません。じい、
私が月へ帰るのを見送ってください」といいました。
「なぜ見送りをしなくてはならないのだ。悲しくて、見
送りなどできない。なぜじいを捨てて、月へ帰ってし
まうのか。じいも一緒に連れていっておくれ」
 

            つづく