[童話]火とぼし山
第六章 湖を泳ぐ娘 13
「そんなことをいって、次郎さんは私と会うのがいや
になったんじゃないの」
きよがさみしそうにいいました。
「考えすぎだよ」
「じゃあ、見合いをした人と会うため」
「その人とは会っていない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいました。
「なんて冷たいいいかたなのだろう」
きよは、心の中でつぶやきました。
「次郎さんのうそつき」
きよが、強い口調でいいました。
次郎は、はっとしました。
「おれが、うそつき?」
大好きなきよから、うそつきといわれ、次郎はショッ
クでした。
つづく