火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 12


「誰なの?」
「そんなこと、知り合ったばかりのみよちゃんにはいえ
ない」
「次郎さんは、その人と結婚するの」
「まだ決めていない」
「じゃあ、私ともつきあって。ね、いいでしょ。次郎さん」


二人の話を聞いていた明神さまは、「やはり、こういう
ことだったのか」と思いました。
きよがさみしそうだったわけが、よくわかりました。
「次郎よ。わしが、きよとおまえの姿をみたのは、諏訪
湖に氷がはっている頃だった。あれからまだ何ヶ月も
たっていない。それなのに、これは一体どういうことな
のじゃ。


             つづく