火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 1


一カ月がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
きよにとって、この一カ月は、気が遠くなるほど長い
時間でした。
後二十九日、後十五日、後八日・・・と、次郎に会え
る日を指おり数えて待っていました。
「次郎さんに会いたい」
「次郎さんの笑顔がみたい」
この一ヶ月、きよは次郎のことばかり考えてすごしま
した。


西山に太陽が沈む頃、きよは次郎が住んでいる村
に向かって出発しました。
「今日は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみました。


             つづく