2021-03-10 開善寺の早梅の精 童話 [童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 5 ( 南枝は暖に向かひ北枝は寒し 一種の春風両般あり) 文次は、梅の花にみとれていました。 ふと気がつくと、目の前に美しい女の人が立っていま した。 女の人は、いつここへきたのでしょうか。 年のころは、二十才。 いや、もっと若いかもしれません。 清楚な、美しい人でした。 女の人は、紅色の着物の上に白い上着をきています。 「なんて美しい上品な人だろう。梅の精みたいな人だ」 文次は、心の中でそっとつぶやきました。 つづく