開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精  8


「ところで、文次さん。なぜここへみえたのですか」
「わしらは、今、甲斐の武田と戦っている。だが、開
善寺の早梅がみたくなって、こっそり戦場をぬけだ
してきたのじゃ」
「まあ・・・こっそりぬけだしてきたのですか。みつか
ったら大変でしょうに」


「今ごろ、文次がいないがどうしたと、さわいでいる
でしょうな」
「文次さんて、おもしろいかたですね。さむらいでは
ないみたい」
梅香となのる女の人は、そういって笑いました。

    
              つづく