開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精  7


女の人は、「昔の美しかった花のおもかげまで、この
梅には残っているようです」と、よんだのでしょうか。


「すてきな歌ですね。ところで、あなたの名前は?」
「梅香といいます」
「梅香さんですか。あなたは、この梅のように美しい
かたじゃ」
「美しいだなんて・・・。あなたの名前は?」


「わしの名前は、埴科文次。さむらいじゃ」
「文次さんですか。文次さんこそ、いい歌をよまれる」
「いやいや、おはずかしい」
文次は、女の人にほめられ、顔が赤くなりました。

    
              つづく