開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精  16


  梅の花匂ふ袂のいかなれば

  夕暮れごとに春雨の降る


文次は、「あの人の香りが残る袖は、毎夜私の涙で
ぬれている」という意味の歌をよみました。
文次は、梅香のことがわすれられなかったのでしょ
うね。


この歌をよんだ翌日、文次は戦場でなくなりました。
「この世の最後に、梅香さんと歌あわせができてわ
しは幸せだった。梅香さん、ありがとう」 
そういって、文次はあちらの国へ旅立っていきました。


          おわり