鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま  18


和尚は、石になってしまった愛犬に、毎日お経をあ
げています。
一ヶ月後。
和尚は、いつものように、石になった二匹の愛犬に、
お経をあげていました。
すると・・・。
「わん、わん、わん」
犬の声がしました。
石の中から、タケルとチハヤがとびだしてきました。


「タケル」
「チハヤ」
和尚は、二匹の犬をしっかりだきました。
タケルとチハヤは、和尚の顔をぺろぺろなめてい
ます。
「タケル、チハヤ。元にもどれてよかったのぅ」
和尚の目から、涙があふれました。


            つづく