鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま  17


「和尚さま。今日は話があってやってきました」
「三郎さ、話ってなんじゃ」
「和尚さま。わしが持っている田畑や山林を全部寺
に寄進したいのですが」
「何、全財産を寄進してくれると」
「はい、今まで殺生をしてきたつぐないとして、全財
産を寄進したいと思います」


「そうか。三郎さ、ありがたくいただくぞ。本尊の観音
さまもさぞ喜んでおられるだろう」
三郎は、全財産を寺に寄進しました。
そして、寺の手伝いをしながら暮らしました。


            つづく