井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


    井戸で鳴く黄金色のにわとり  7


天正十年(1582年)二月。
大島城に、戦の知らせが届きました。
織田軍が、伊那谷へせめてくると。
「織田というと、信長か?」
「いや、長男の信忠じゃ」
「信忠か・・・」


「信忠といえば、信玄さまの娘・松姫さまの婚約者だ
った人。婚約者の父の城を攻めてこなくてはならない
信忠の気持は、複雑でしょうな」
「戦国の世でなかったら、松姫と信忠はすてきな夫婦
になっていただろうに。むごいことじゃのぅ」
「そうですな」 
 

              つづく