[童話]日本武尊と明神さまの弓
日本武尊と明神さまの弓 16
「そなたは、これからどこへ行くのじゃ」
「越後の城へ、賊を討ちに行きます」
「越後へ?」
「はい。父から、東方の十二の国を平定するようにと命じ
られました」
「父上の名前は」
「影行天皇です」
「すると、そなたは、皇子なのじゃな。名前は」
「日本武尊といいます」
「そうか」
老人は、しばらく何か考えているようでした。
「この弓は、わしがこの世で一番大切にしているもの。そ
なたを信じて、弓を貸してあげよう」
「ほんとうですか。ありがとうございます」
つづく