赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  16


権現城では、戦の準備もととのわないまま、下条と
の戦が始まりました。
下条の軍勢は、数百。
こちらは、城内にいた数十人のみ。
急なことゆえ、かけつけてくれる援軍もありません。
権現城は、たちまち下条の軍勢にとりかこまれてし
まいました。


「矢の先に火をつけ、城を射よー」
吉岡城の城主・下条時氏が、兵士たちにむかって
さけびました。
「びゅーん」
「びゅーん」
「ばしっ」
「ばし」
火のついた矢が、城にむかってとんできます。


           つづく