赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  30


「お万」ということばは、盛永の寝言だったのでしょ
うか。
「お万。お万は・・・無事か」ということばを聞いた犬
坊は、頭の中が真っ白になりました。
犬坊は、ぐっすり眠っている盛永の口から、そんな
ことばを聞くとは思ってもいませんでした。


盛永さまは、誰よりもこの私を愛し、かわいがってく
れていると思っていた。
でも、盛永さまが愛していたのは、私ではなく奥が
たのお万さまだったのだ。
犬坊の心は、乱れました。


           つづく