赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  56


父親の悪口を聞いた長五郎は、どう思っただろうか。
夫の盛永は、領民たちからそんなふうに思われてい
たのか。
お万は、おばあさんのことばを思い出し、そっと涙を
ふきました。


「奥がたさま。わしが夕顔の花をとったばかりに、いや
な思いをさせてしまい申し訳ありません。よかれと思っ
てしたことが、とんでもないことになってしまいました。
ほんとに申し訳ありません」
そうべえは、お万にあやまりました。
「いいのよ、そうべえさん。あなたを強くとめなかった私
が悪いのですから。ちゃんと家のかたにことわって、夕
顔の花を分けていただけば良かったですね」


           つづく