赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  43


そうべえが顔を出しました。
でも、奥がたのお万だとわからないようでした。
うす汚れた野良着を着ているのですから、無理もあり
ません。
「そうべえさん。私、権現城の奥がたのお万でござい
ます」
「奥がたさま?」


「はい、お万でございます」
「あっ、奥がたさま。失礼しました。奥がたさま。そんな
かっこうをして、どうなさったのですか」
そうべえが驚いて聞きました。


           つづく