赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  41


あの城は、領民たちの年貢で建てた城。
領民たちが、一つ一つ石を運こび苦労してつくった城。
その城が、燃えている。
城主の盛永が、あれほどまでに執着した城とは、一体
何だったのだろうか。
お万は燃えている城をみて、心の中でつぶやきました。


「一日も早く、戦のない平和な世の中になりますように」
お万は、心の中で祈りました。
お万と長五郎は、下条の追手を逃れ、一晩中、山の中
を歩きました。
東の空が、だんだんに明るくなってきました。


           つづく