赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  59


盛永さまは、なぜあんな寝言をいったのだろうか。
私は、盛永さまが誰よりも私を愛してくれていると思
っていた。
でも、盛永さまが愛していたのは、私ではなく奥がた
のお万さまだったのだ。
だから、私は、しっとのあまり盛永さまをやりで刺し殺
してしまったのだ。


盛永さまを刺し殺そうと思った時、なぜなくなった両
親の顔を思い出さなかったのだろう。
二人の顔を思い出していれば、盛永さまを刺し殺す
ことはなかっただろうに。
犬坊の頭の中で、これらのことばがぐるぐるとかけめ
ぐりました。


           つづく