尾掛松

[童話]尾掛松


    尾掛松 4


天井をみた神様たちは、「あっ」といったきり、真っ青
になりました。
天井の梁には、樽ほどもある太い龍が巻きついてい
ます。
龍は、真っ赤な舌をぺろぺろだしていました。


「でかけようと思ったら、急用ができてのぅ。信濃は遠
いので、遅れてはいけないと思い、龍の姿でやって
きたのじゃ。わしの体は、この社を七まき半しても、尾
は国の松の木にかかっている」
明神さまがいいました。


「えっ、明神さまって、龍だったの。知らなかったわ」
「大きな龍なのね。こわいわ」
女神さまたちが口々にいいました。


          つづく