尾掛松

[童話]尾掛松


    尾掛松 6


すると、明神さまが大きな声で笑いました。
「そうか。それはありがたい。信濃は遠いからのぅ。
じゃあ、わしは帰るぞ。後はよろしくな」 
そういうと、明神さまは雲にのり、諏訪へ帰りました。
そして、諏訪湖の奥深く姿を消しました。
そのため、信濃の国には、「神無月」はありません。


明神さまの尾がかかっていた木は、松ではなくひの
き科のびゃくしんだったそうです。
高さは、十五メートル。
幹まわりは、三メートル。
樹齢は、約千年だったとか。
その木は、三百年位前に枯れてしまいました。
現在は、根元の部分だけが残っているそうです。
 

       おわり