大伴御行大納言と龍の頸の玉 11
「龍の頸の玉をとることができなかったので、屋敷に
帰ることができませんでした。でも、今は、龍の頸の
玉をとることは困難なことだと、大納言さまもわかっ
ただろうと思います。なんのおとがめもないだろうと
思い、帰ってきました」
家来たちは、口々にいいました。
すると、大納言が起き上がり、いいました。
「おまえたち、龍の頸の玉など持ってこなくて、本当
によかった。龍は、恐ろしい雷と同じ仲間だった。龍
の頸の玉をとろうとして、わしのおおぜいの家来が、
殺されかけたのだ。もしわしが、龍をつかまえていた
ら、龍に殺されていただろう。
つづく