[童話]海彦山彦
海彦山彦 11
「はい。桂の木の上に、立派な青年がおります。海の
神のような、高貴な感じのかたです。そのかたが水を
求めたので、水をさしあげました。でも、そのかたは水
を飲まずに、玉を瓶にはきいれたのです。玉をとろう
としましたが、とることができません。それで、そのまま
持ってきました」
「どなたかしら」
豊玉比売は、外に出てみました。
背の高いりりしい青年が、にっこり笑って立っていま
した。
「まあ、すてきなかた」
「なんてかわいい人だろう」
お互いに一目ぼれ。
つづく