海彦山彦

[童話]海彦山彦


      海彦山彦 15


海の神は、山彦に聞きました。
「昨晩大きなため息をついていたと、娘が心配して
います。何か心配ごとでもあるのか」
「私は、なくしてしまった兄のつり針を探しに、ここ
へやってきました」
山彦は、兄と道具の取り換えをして、つり針をなく
してしまったことを、海の神に話しました。


海の神はすべての魚を集め、魚たちに聞きました。
「婿のつり針をとった魚はいるか」
「鯛が喉に何かささって、物を食べることができな
いとなげいています」
「その鯛は、ここにいるか」
「いません」
「その鯛をつれてきなさい」 


            つづく