かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女


かきつばたになった少女 15


「おばさまが一日も早く元気になると良いね」
山彦は、そういってはげましてくれました。
二人は心をひかれながらも、その日は少し話
をしただけで、別れました。


その日の夕方。
かきつばたからきすげの花をもらったおばさ
まは、とてもうれしそうでした。
「かきつばた、ありがとう。きすげの花をみ
ることができて、うれしいわ。もう何もおも
いのこすことはない」
「おばさま、今日ね、霧が峰で山彦という少
年に会ったわ」
「えっ、山彦に?」
おばさまは、驚いたような顔をしました。


        つづく





「かきつばたになった少女」は、
みほようこ四冊目の童話集「ライオンめざめる」
に収録されています。


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