かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女


かきつばたになった少女 16


「おばさまは、山彦のことを知っているの?」
「ええ、よく知っていますよ。だって、山彦
は私が大好きだった人のこどもですもの」
「えっ?」


「少女の頃、私は霧が峰で人間の少年に会っ
たの。そして、その少年と何度か会ううちに、
おたがいに好きになったわ。でも・・・今も
そうだけれど、人間の男性と女神は、結婚す
ることは許されていなかったの。だから、私
はその人と結婚することをあきらめたわ。で
も・・・私はその人のことをどうしても忘れ
ることができなかった。だから、誰とも結婚
しなかったの。


        つづく





「かきつばたになった少女」は、
みほようこ四冊目の童話集「ライオンめざめる」
に収録されています。


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