女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの

 

座禅草が咲いている高原で 1


春の遅い佐久にも、ようやく暖かな春がやって
きました。
庄屋の庭でも、福寿草の花が咲き始めました。
「おじょうさま」
「なぁに、清太さん」
「これから、高原へ行こう」
「これから?」


「そう、これから。昨日、庄屋さまのおともで高
原を通ったら、座禅草の花が咲いていた」
「座禅草の花?」
「おじょうさまは、座禅草の花を知らないの」
「知らないわ」
「座禅草はね、おもしろい形をしているんだよ」
「おもしろい形って」
「みればわかるよ、おじょうさま」
清太は、おどけていいました。


         つづく