女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの

 

座禅草が咲いている高原で 2


「おらの家の近くでも、座禅草の花が咲く。もう
花が咲いているかな」
清太は、故郷の諏訪を思い出しながらいいました。
「その場所はね、諏訪の神様が住んでいる守屋山
のふもとなんだ。春になるとね、林の湿地に、座
禅草がかわいい芽をだすんだよ」
いつも無口な清太が、今日は一人でしゃべってい
ます。


「今日の清太さんは、別人みたい」
きよは、心の中でそっとつぶやきました。
「おじょうさまは、諏訪へ行ったことがある?」
「あるわ。とうちゃんと一緒に、御柱祭をみに行
ったことがある。御柱祭って、勇ましいお祭ね」


         つづく