2020-12-07 火とぼし山 童話 [童話]火とぼし山 第一章 次郎、西の村へ 2 「次郎さん。諏訪湖の西といったら、何を思い出す?」 「守屋山かな」 「私も」 「何年か前、福寿草をみに、守屋山へ行ったことがあ ったね」 「おぼえている。あれは、七年前の春。私が十才、次 郎さんが十五才の時。朝早く起きて、守屋山へ行った」 「守屋山へ着いてから、福寿草を探して、山の中をあ ちこち歩きまわったね」 「でも、その日、福寿草の花をみつけることができなか った。あきらめきれず、次の日曜日、また守屋山へ行 ったね」 つづく