火とぼし山

[童話]火とぼし山


第一章  次郎、西の村へ 5


「どこへ引っ越すの」
諏訪湖の西にある村。さっき、白鷺が飛んでいっ
た方向にある村だよ」
西の山を指さし、次郎がいいました。
「私、次郎さんと別れるなんて、いや。絶対にいや」
きよは、次郎と離れて暮らす生活なんて考えられま
せんでした。


「おらも、きよちゃんと別れるのは辛い。でも、仕事
からしかたがない」
次郎は、割り切っているようでした。

「次郎さん。引越しをしても、私と会ってくれる?」
「もちろん。時々会おうね」
「どうやって会うの」
「おらは、あまり休みがない。だから、夜しか会え
ない」
「じゃあ、私が会いに行くわ」


             つづく