火とぼし山

[童話]火とぼし山


第四章  一ヶ月に一度の出会い 11


「きよ。次郎君と、けんかでもしたのかい」
「とうちゃん。私たち、けんかは一度もしたことはな
いわ。次郎さんは、野良の仕事が忙しいの。だから、
会えないんだって」
「そうか。それならいいけれど。このごろ元気がない
から、どうしたのかなと心配していたのだよ。仕事が
ひまになれば、また会えるさ」
おとうさんは、きよをなぐさめました。


「とうちゃん。ごめんね。ほんとは、仕事がひまにな
っても、次郎さんとは月に一度しか会えないの。私、
さみしい」
きよは、心の中でそっとつぶやきました。


             つづく