火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 8


きよは、「とてもおもしろい人」「大きな農家の一人娘」
「養子」ということばが、気になりました。
貧乏なわが家と違い、その人の家は裕福なんだろう
なと、きよは思いました。
「次郎さんは、これからもその人とつきあうの」
「おらは、つきあう気はない。でも、その人が、これか
らもつきあってほしいというんだ」


次郎さんが、誰とつきあおうと勝手だ。
でも、私とだけつきあってほしい。
きよは、心の中で強くさけびました。
次郎さんは、小さな時から、私のことを思っていてく
れると信じていた。
でも、次郎さんの心の中には、見合いをした人が住
んでいるのではないだろうかと、きよは思いました。


             つづく