火とぼし山

[童話]火とぼし山


第四章  一ヶ月に一度の出会い 9


「娘よ。青年と仲良くしたまえ。けんかをしたのなら、
一日も早く仲直りしなさい。けんかが長びくと、ろく
なことはないからのぅ」
明神さまは、心の中で娘に話しかけました。


数日後。
明神さまは、湖のほとりで、また娘をみかけました。
娘は、西山にむかって、なにかしゃべっています。
「次郎さん。元気? 今、何をしているの。一カ月も、
次郎さんに会えないなんて、私さみしい。一日も早
く、次郎さんに会いたい。白鷺のように羽があれば、
毎日でも次郎さんの所へ飛んでいけるのにね」と。


             つづく