火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 9


次郎さんが、その人を好きになったらどうしよう。
私は、次郎さんに捨てられてしまうのだろうか。
きよは、不安な気持で、毎日をすごしました


十日がすぎました。
明神さまは、いつものように、村内のみまわりに行き
ました。
桑畑を通りかかると、若者が桑の葉をつんでいました。
「どこの若者だろう」
若者の顔をみた明神さまは、あっと声をあげそうにな
りました。
きよの大好きな人、次郎だったからです。


その時。
「次郎さーん。私よー」
どこからか、女の人の声が聞こえてきました。
みると、桑畑の向こうから、娘が走ってきました。


             つづく