[童話]火とぼし山
第六章 湖を泳ぐ娘 11
そういえば、きよちゃんが持ってくるとっくりは、驚く
ほど熱い。
きよちゃんの手は、たしかに熱いけれど、あのとっく
りの熱さは異常だ。
次郎の心の中で、きよに対する疑いがどんどんふく
らんでいきました。
その一方で、次郎は思いました。
おらは、小さな時から、きよちゃんが大好きだった。
そんなきよちゃんに、なぜ疑いの気持をいだくのだ
ろうか。
きよちゃんが、魔物であるはずはない。
小さな時から大好きだったきよちゃんに、疑いの気
持をいだくなんて、おらはどうかしている。
次郎は、自分の気持をコントロールすることができ
なくなっていました。
つづく