火とぼし山

[童話]火とぼし山


第六章  湖を泳ぐ娘 10


「今夜は、きよちゃんの話についていけない」
次郎は、心の中でそっとつぶやきました。
きよちゃんが、いくら泳ぎが達者でも、こんなに早く
湖を泳いでくるなんておかしい。
どう考えても、変だ。


きよちゃんは、魚になったような気がするといってい
たが、魚になどなれるはずはない。
きよちゃんには、諏訪湖に住んでいる魔物がとりつ
いているのではないだろうか。
ひょっとして、きよちゃんが、その魔物だったりして。


             つづく