火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 3


「きよちゃん」
「次郎さん、何?」
「おこらないで聞いてくれる」
「何なの、次郎さん」
「きよちゃんには、今まで何でも話してきた。おれ、
かくしごとをしたくないので、おもいきって話す。
きよちゃん、おこらないでね」
次郎は、再び念をおしました。


「実は、十日ほど前、主人から姪と会ってほしいと
いわれた」
「見合いをするということ」
「そうらしい。でも、おらは、その場でことわった」
「次郎さん。ことわったなら、そんな話しなくてもい
いのに」
きよは、次郎の気持がわかりませんでした。


             つづく