火とぼし山

[童話]火とぼし山


第六章  湖を泳ぐ娘 15


「次郎さんが、大好きだからよ。だから、わかるの。
次郎さんには、その人と会う気はないかもしれない。
でも、その人、次郎さんが働いているたんぼや畑へ、
会いにくるでしょ」
次郎は、何もいえませんでした。
事実だったからです。


きよがいうように、みよは次郎が働いているたんぼや
畑へ、何度もやってきました。
次郎は、「会いにこないで」といえず、困っていました。
みよは、働いている家の主人の姪だったからです。


             つづく