鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま  14


三郎さは、鹿狩りの名人。観音さまは、おつかいをし
てくれる鹿がいなくなってしまうのではないかと、心配
されたのかもしれんぞ。実は、わしも、三郎さに殺生を
しないようにと忠告しようと思っていたところじゃ」
「鹿は、神様や仏様のおつかいをしている動物なので
すね。知りませんでした」
和尚のことばを聞き、三郎ははっとしました。


「観音さま。身の危険を感じたとはいえ、わしは観音さ
まの化身である鹿に矢をむけてしまいました。どうか、
わしをお許しください。今まで、わしは、たくさんの鹿を
殺しました。なんて罪深いことをしていたのでしょう。


            つづく