[童話]鹿になった観音さま
鹿になった観音さま 16
そして、二匹の犬にお経をあげました。
二人は、石になった犬たちをつれて、寺へ帰りました。
二週間後。
三郎が、寺にやってきました。
「三郎さ。この間は、世話になったのぅ」
「和尚さま。タケルとチハヤが石になってしまい、さみ
しいでしょう」
「二匹の犬は、家族の一員だったから、さみしいのぅ。
元にもどれるといいのじゃが」
和尚がさみしそうにいいました。
「三郎さ。鹿狩りにはいかないのかい」
「はい、和尚さま。あれいらい、わしは鹿狩りをやめま
した。弓をひくこともしません」
「そうか」
つづく