[童話]赤い夕顔の花
赤い夕顔の花 39
ところが、下条の追手から逃げまわっているうちに、
お万たちは家臣とはぐれてしまいました。
「奥がたさま」
「奥がたさまー。どこですか」
家臣が、遠くでお万をよんでいます。
でも、大声で返事をするわけにはいきません。
「ここですよ。私たちは、ここにいますよ」
お万は、心の中で何度もさけびました。
「幼いこどもをつれているから、遠くへは行くまい。
どこかにかくれているのだろう。早く三人をみつけろ」
近くで、兵士たちの声が聞こえました。
お万と長五郎は、木のしげみにかくれました。
つづく