火とぼし山

[童話]火とぼし山


第六章  湖を泳ぐ娘 1


月のきれいな夜でした。
手長と足長は、諏訪湖で魚をとっていました。
手長は、魚をとるのが上手でした。
今夜も、大きな鯉を三匹もつかまえました。


「ねえ、あなた。明日の朝、この鯉を明神さまに届け
ましょう」
「そうだね。明神さまは鯉が好きだから、よろこぶじ
ゃろ。大きな鯉だから、さしみにして食べたら、さぞ
うまいだろうな」
「甘露煮の方がおいしいわ」
手長がいいました。


二人が話をしていると、
「ばしゃ、ばしゃ」
遠くの方から、音が聞こえてきました。
「何の音だろう」
手長と足長は、あたりをみわたしました。


             つづく