海彦山彦

[童話]海彦山彦


      海彦山彦 19


その鰐は、約束通り、一日で山彦を地上の国へ送りま
した。
鰐が帰ろうとした時、山彦は身につけていた紐つきの
懐剣をほどき、鰐の背中に結びつけました。
「鰐よ、ありがとう。気をつけて帰るのだよ」
山彦は鰐の姿が見えなくなるまで、鰐を見送りました。


山彦を送った一尋鰐は、後に「佐比持神」といわれる
ようになりました。


            つづく