福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女


福寿草になった少女 7


かわいいこどもを捨てるなんて、こどもの授
からない夫婦には、考えられないことでした。
「それにしても、かわいい子じゃのぅ」
長者はなれない手つきで、そっと女の子をだ
きあげました。
女の子は長者の顔をみて、にっこりほほえみ
ました。
「おう、おう。よいこじゃのぅ」
長者は目を細め、女の子をあやします。


「ねぇ、私にもだかせて」
奥さんは女の子を受け取ると、やさしくほお
ずりしました。
すると、お乳の甘いかおりが、ぷーんとしま
した。
女の子はつぶらなひとみで、じっと奥さんの
顔をみています。
そして時々にこっとほほえみます。


          つづく   





福寿草になった少女」は、
みほようこ二冊目の童話集「竜神になった
三郎」に収録されています。


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