[童話]竹取物語
帝のお召しに応じないかぐや姫 18
おじいさんが泣くのをみて、姫はどうしたらいいのか
わかりません。
「月の国には、私の父も母もいます。わずかな間だけ
といって、月の国からやってきました。でも、この国で、
長い年月がすぎてしまいました。月の国にいる父と母
のことは、もうおぼえていません。
この地上で、長い間滞在したので、月の国へ帰れると
聞いても、少しもうれしくありません。むしろ、悲しい気
持でいっぱいです。でも、月の国へ帰ってきなさいと
命令されれば、いやでも帰るよりしかたがありません」
姫は、おじいさんとおばあさんと一緒に泣きました。
使用人たちも、長い間、優しい姫と暮らしてきたので、
姫が月に帰ってしまうと聞き、悲しい気持でいっぱい
でした。
どの人も水さえ喉に通らないほど、かぐや姫のことを
心配しました。
つづく