火とぼし山

[童話]火とぼし山


第二章  再会 1


七日が過ぎました。
今日は、次郎と会う日。
早めに仕事を終えたきよは、西山に太陽が沈む頃、
次郎が住む西の村に向かって出発しました。
「とうちゃん、かあちゃん。行ってきます」
「きよ、気をつけて行くのだよ。次郎君によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれました。


「今夜は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみます。
何時間もかかる遠い道のりも、真っ暗な夜道も、次
郎に会えると思うと少しも苦になりません。
しばらく行くと、あたりが真っ暗になりました。
きよはあかりに火をともし、諏訪湖のまわりを足早に
歩いて行きました。


             つづく