火とぼし山

[童話]火とぼし山


第四章  一ヶ月に一度の出会い 1


寒さの厳しい諏訪にも、ようやくあたたかな春がやっ
てきました。
諏訪湖の氷も、とけはじめました。
今日は、次郎と会う日。
きよは、湖のまわりを歩いていくことにしました。
湖のまわりを歩くと、氷の上を歩く何倍もの時間がか
かります。
きよは、一分でも早く、次郎の所へ行ける方法はない
かと考えました。


「湖を泳いで行ったらどうだろう」
きよは、湖の中へ手を入れてみました。
氷がとけ始めた湖は、驚くほど冷たく、泳いでいくこ
とは無理でした。
きよは、次郎のことを考えながら、湖のまわりを足早
に歩いて行きます。
しかし、歩いても、歩いても、なかなか次郎の所へた
どりつけません。


             つづく