火とぼし山

[童話]火とぼし山


第六章  湖を泳ぐ娘 6


「だいじょうぶ、次郎さん。気をつけて泳ぐから。今夜
は明るかったから、泳ぎやすかったわ。湖の水が、き
らきら光って、とてもきれいだった」
きよがいいました。
「きよちゃん。いくら明るくても、昼間とはちがうんだよ」
「たとえ、真っ暗でも、次郎さんがともしてくれる火を目
印に泳いでくるから平気よ」


きよのことばを聞き、自分がともす火が、どんなに大切
な火であるかということを、次郎は知りました。
そして、「きよちゃんは、おらがともす火を目印に、ここ
へたどりついているのだな」と、次郎は思いました。


             つづく