[童話]火とぼし山
第四章 一ヶ月に一度の出会い 8
何日ぶりじゃろ。あの夜は、あの娘、とてもうれしそう
な顔をしていたのに、今日はなんだか元気がない。
どうしたのじゃろ。青年とけんかでもしたのかな」
明神さまは、奥さんの所から、上諏訪のやしきへも
どる所でした。
「まあ、どんなに仲がよくても、たまにはけんかもする
さ。このわしだって、妻とけんかをする。わしが、この
ように妻のやしきへ通うようになった原因だって、ほ
んのささいなけんかだったものな」
明神さまは、奥さんとけんかした日のことを思いだし
ました。
つづく