[童話]火とぼし山
第四章 一ヶ月に一度の出会い 7
「なぜ話せなかったの」
「なんか、はずかしくて。そんなにしょっちゅう家に帰
るのはおかしいと、主人にといつめられた。だから、
きよちゃんのことを話したんだ」
「そうしたら、なんていったの」
「きよちゃんとは、月に一度、会ったらどうかといわれ
た。野良の仕事が忙しいから、そういったのだろうけ
れど」
「一カ月も、次郎さんに会えないなんて、私さみしい」
そういって、きよは家に帰っていきました。
「おや? 向こうから歩いてくるのは、あの娘だ。名前
は、なんていったかのぅ。そうそう、きよとかいっとった
な。湖の氷の上で会ってから、ずいぶんたつのぅ。
つづく