火とぼし山

[童話]火とぼし山


第四章  一ヶ月に一度の出会い 10


「大好きな二人が、一カ月も会えないなんて、つら
いだろうな。なんで会えないのじゃろ。
娘が青年に会いたいと思うのも、無理はないのぅ」
娘の後姿をみながら、明神さまは小声でつぶやき
ました。


「娘よ。青年と会えない日には、心の中で話をしな
さい。そうすれば、さみしくないぞ。一ヶ月なんて、
あっという間じゃ。娘よ、元気をだしなさい」
明神さまは、心の中で娘に話しかけました。


その夜。
「きよ。このごろ元気がないけれど、どうしたんだい」
おとうさんが心配して聞きました。
「とうちゃん。なんでもないわ。心配しないで」


             つづく